2018.06.22

同じ靴しか履かない

今日もこんなブログにアクセスして下さり、誠にありがとうございます。

 

今日は息子の幼児期のこだわり。“靴”について書いてみたいと思う。

 

自閉症の子には様々なこだわりがあり、それに応じてやらないと暴れ、自傷する。きっと同じような子を育てている親は、この“こだわり生活”を強いられているだろう。

 

自閉の子は”想像力の障害”があるので、先の見えないことに不安を覚える。だから、たまたま最初に体験したものを「これは心地よい」と感じ、次第にこだわりと化すのだ。

 

息子のこだわりは

井の頭線3000系の各駅停車しか乗れません

株式会社コンドルタクシーしか乗れません

緑の水泳帽しかかぶれません

など様々あったなか、靴についての思い出

 

(井の頭線についてはこちら ↓)

h-navi.jp/column/article/333

(緑のものについてはこちら ↓)

h-navi.jp/column/article/643

 

■心地よい靴

“僕が歩き始めたとき、人生で最初にたまたまお母さんが買ってくれた僕の靴。それは10㎝のベージュ色の可愛い靴でした”

 

何だか歌の歌詞のようだが、そんな淡いものではない。

 

「これが靴という物だ」と本人は思う。ここまではOK~。

 

ところが!

毎日これを履いていることで次第にパターン化し、「このデザイン以外の物は僕は受けつけません!」となってしまう。こだわり誕生だ。

■10.5㎝ 足が大きくなった

しばらくの間、10㎝の靴を履かせていたが、当然、成長と共にきつくなってくる。

 

そこで全く同じ色、デザインの10.5㎝の靴を買ってやった。このことがいけなかった!

 

結果的に“靴”という物体を生まれて初めて与えられてから 、本人にとっては“同じ物を足に付けている感覚”になってしまった。

 

これで完全にパターン化し、「この靴でなければならない」となった。

 

■11㎝

子どもの足はドンドン大きくなる。10.5㎝の靴も次第にきつくなってきた。

 

そこで、同じ店に買いに行ったところ、同じデザインのものは売っていたが、

11㎝の青色の靴しかなかった。

 

それを買い、家に帰って履かせようとしたところ断固拒否、火のついたように泣き叫んだ。

 

翌日の外出時に、ベージュの靴を見せて「これはもうきつくなったから、今日からは履かないの。青いこっちの靴よ」と言い聞かせたが、自閉症児には通じず、自傷し、暴れた。

 

仕方なくきついベージュの靴を履かせたら機嫌が直った。

 

私はメーカーに問い合わせし、他の靴屋に行き、サイズ違いの11㎝、11.5㎝、12㎝の全く同じデザインのベージュの色を買い置きした。

 

■もう生産していない

ところが、息子の足が更に12㎝ではきつくなった時、探しても探しても、ベージュの靴はなかった。メーカーに問い合わせても生産していないとのこと。

 

仕方なく、少しでもデザインが似ている色もベージュの物を買ったが、当然、断固拒否!

 

でも、もうどんなに私が頑張ってもないものはなく、その靴を用意することは出来なかった。息子が暴れて、自傷し、身体を傷つけても、ほっておくしかなく…

 

息子自身もお気に入りのきつい靴をサンダルのような履き方をするしかなく、歩きづらく足も痛くなってきた様子だった。

 

■ゴミ箱

ある日、ふと台所の生ゴミ用のゴミ箱を開けてみたら…

 

そこにベージュの12㎝の靴が捨ててあった。大好きなお気に入りにこだわっていた靴。私が捨てたのでもなく、本人に「捨てなさい」と命じたわけでもなかった。

 

自分で納得して、捨てたのだ!

捨てた場所は「生ゴミ」のゴミ箱だったが、それを咎めることはせず、「ああ、自分で自分をやっと納得させたんだな」と心の中で褒めてやった。

 

■受け入れ

このことがあってからは、靴に関しては足が大きくなって違うデザインになっても受け入れてくれるようになった。

 

自閉症であっても長い人生歩んでいく中で「自分の思い通りことは運ばない。こだわりが通じる訳ではない」ということを学んでいくのだ。

 

子どもが幼いうちは“精神的安定”をまず作ってやるために、親が可能な限りはこだわりには応じてやった方が良い。

 

それでも、同じデザイン、色の靴が製造されていないように、対応できない場面も当然出てくる。

 

そんなときは子どもなりに小さなハードルを経験し、越えながら自閉症という障害を持ちつつ、成長していくんだと思う。今はどんな靴でも履いてくれる。

 

“僕が歩き始めたとき、人生で最初にたまたまお母さんが買ってくれた僕の靴。それは10㎝のベージュ色の可愛い靴でした”

 

やっと今になって、歌の歌詞のように懐かしい思い出となった。

今の靴、27.5㎝!私よりもずっと大きい。

また来週金曜日、寄ってくださいね~

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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カテゴリー:正直なつぶやき

コメント(2)

  1. ハナ より:

    自閉症スペクトラムも幅広く段階があると思います。中途半端なタイプは親でさえも理解がしづらいのですが、立石さんのブログ読ませていただいて大変参考になっております。基本は同じなんだと思いました。うちの場合は、本格的なひきこもりにならないように、日々格闘中です。平日でも、親子で外出をよくしますが、たまに同じ様な親子連れ見たときに、一緒かな?と思う事もあります。そういう時って、実は話しかけたいのですが、、、大変だよねー、頑張ってるよねー、って!

  2. 立石美津子 より:

    わかります。声をかけたくなりますよね。(^○^)

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