2013.04.09
出生前診断の是非
妊婦の胎児の障害の有無がわかる新型の出生前診断が2013年4月にとうとうスタートした。妊娠している女性の血液の中にある胎児由来遺伝子を調べることによりダウン症などの染色体異常を調べるものだ。
私は今から10年以上前、私は何のためらいもなくトリプルマーカーテストという出生前診断を受けてしまった。不妊治療を受けていた病院にポスターが貼ってあったからだ。
トリプルマーカーテストは母体の血液をとって行う簡単なもの、あくまでも障害児である確率がパーセンテージで出るだけのもの。実際、障害のあるなしは母体の子宮の羊水に浮かんでいる胎児の細胞の染色体を調べる“羊水検査”をしなくてははっきりしない。採血の結果は悪かった。「お腹の胎児はダウン症候群の確率が80%です」と診察室で言われ「折角、不妊治療して妊娠できたのに・・・何で・・・・」と奈落の底に突き落とされた。足元がフラフラしてしまい、頭の血液が全て身体の下に行きジンジンし、どうやって家に帰ったか覚えていないことを思い出す。
そして、医師から羊水検査を受けるために大きな病院の紹介状をもらった。5日後に入院して羊水検査を受けた。子宮に長い注射針を差し羊水を吸引する(羊水穿刺)ため、流産の危険がある検査だ。障害児でなくてもそこで子どもを失ってしまうリスクがある訳だ。私がこの検査を受けた病院は通常の産婦人科、だから、陣痛に苦しむ女性の声、赤ちゃんの泣き声が聞こえる中での入院だったので、自分と他の妊婦とのそこに居る意味のあまりにも大きな違いに耐えられなかったのを思い出す。
さて、この羊水検査は妊娠15~18週とかなり胎児が大きく育ってから実施される。15週過ぎてからしか羊水に胎児の染色体が浮かんでいないからだ。10ヶ月の妊娠期間悶々と過ごしたくはなかった、そんな安易な理由から衝動的に受けてしまった。
羊水検査をしたからと直ぐに結果が出る訳ではなかった。染色体を培養するために更に1ヶ月先で20週に入らないと結果は出ない。日本では母体に危険が及ぶということで21週と6日までしか中絶は認められていないので、検査結果が出て1週間以内に産むか産まないか決めなくてはならない。20週と言えば妊娠5ヶ月だ。胎動も感じているので重い選択。
羊水検査後、私は悩んだ。でも悩むこと自体おかしいのだ。はっきり言って「染色体異常だったらいらない」から検査を受ける訳だ。だから産む産まないの選択の余地はない。だから、この検査は論理の矛盾がある。どんな子どもでも産むのならば最初からそんな検査受けなければいいということだ。中途半端な優柔不断なポリシーなしの私・・・・・
私に対して野田聖子は偉い!自ら検査を受けた訳ではなくお腹の子どもが重い障害があることが途中でわかっても妊娠を継続した。しかも、自分の遺伝子を持つ子ではなく卵子提供による子どもだ。卵子提供については色々と言われているが私は彼女の生き方は素晴らしいと思う。私なんて最低な女だ。
さて、結果は異常なしだった。もし、あの時、お腹の子が染色体異常だったら私はそのまま妊娠を継続していただろうか、それとも・・・想像しただけで恐ろしくなる。
私の受けた検査は10年以上前のもの。今、新しく導入される検査はもっと簡単で、でも結果は重いものである。
ところで、羊水検査でわかるのはこの3つだけ。①染色体異常(23トリソミー・13トリソミー・18トリソミー等)②二分脊椎。新型出生前診断も同様だ。だから胎児が思い自閉症であってもそれはわからない。だから息子の自閉症はわからなかった。「ダウン症児の方がよかったな。自傷行為、こだわり、パニックがないダウン症の方が自閉症よりも、うんと育てやすそうだな、ダウン症の子って素直でコミュニケーション取れるもんな」「顔を見て障害と明らかにわかる方が生きやすいな。顔が普通だといちいち説明しなくてはならないし本人も誤解されるもんな」と今は思ったりする。
乙武君(五体不満足の著者)がテレビで「障害児だったら産まないは親のエゴ!」と言っていた。ぐさっと来てしまった。今、私が妊娠したら10年前のように出生前診断は絶対に受けない。昔の私を厳しく非難したい。反省の意味も込めてブログに書いてみた。
※写真は21番の染色体が3本ある21トリソミーであるダウン症の写真と18番の染色体が3本ある18トリソミーの写真
カテゴリー:正直なつぶやき
コメント(2)
どういう選択が素晴らしくてもどの選択が最低なのか。。。比べることは出来ません。少なくてもその時自分がした選択がベストだったと信じないと。。偉そうに、、って怒られるかもわかりませんが、私はそうおもうのです。
選択って難しいですよね。状況・価値観それぞれ違いますものね~コメントに感謝です!