2013.04.12
1本多いのは不幸か?
人は通常23対の合計46本の染色体を持って生まれてくる。この中で21番目の染色体が3本あるのが21トリソミー、ダウン症候群である。前回のブログで出生前診断のことを書いた。それを見て私のダウン症児を持つ友人が次のメッセージを送ってきてくれた。まず読んで下さい。
「一本、みんなより余計に持って生まれて来たならば、いい事いーっぱいならいいんですけどね~。染色体はそうはいかないんですよね(^^;;私は20代の妊娠だったので、全く疑いもせず、生まれて顔を見て気付きましたけど、担当医の先生にダウン症と言われた時には、同じく奈落の底に落ちましたょ(>_<)脱力して机に伏せてしまいました。脱力感が酷くて意外と涙は出ないものですね?涙が出たのは、主人とトボトボ歩いて部屋に戻る廊下でした。でも、偏見は無かったつもりなんですけどね⁈妊娠中も虫の知らせか、ダウン症でも可愛いがって育てよう!と思っていたんですけどね。でも実際に生まれて来ると、育てる自信はない、可愛いと思えないかもしれない…私はひどい母親だ‼死んでしまおう‼現実から逃げるには、死ぬしかないんだ‼と思いました。周りは、元気に泣く赤ちゃんの声、幸せそうなママ達の笑顔。でも、私は娘の誕生を喜べない酷い母親‼あぁ、眠って忘れたい‼でも眠れない。睡眠薬を下さいと言ったけどくれない。四人部屋で泣く訳にもいかないので、夜の暗いロビーで一人泣いていると、看護婦さんが、声を掛けてくれました。私は正直に話しましたよ。障害児の母親なんて自信がないし、可愛いと思えないかもしれないと…。すると看護婦さんが、そうですよね?それが正直な気持ちですよね?……でも、それが人間なんですよ。お母さんは正直な気持ちを言っているだけで、そう思うことは悪いことじゃないんですょ?と言ってくれました。その言葉が心を軽くしてくれてぐっすり眠れ、前向きになるキッカケになりました。もしあの時に「何言ってるの~!ダウンちゃん可愛いじゃない!」と励まされていたら、きっと現実から逃げていたかもしれません。確かに育てるのは大変だけど、世間には冷たい視線を浴びて嫌な思いもいっぱいしているけど、普通の子育てでは絶対に見えなかった幸せが見えるようになったのは事実☆絶対に味わえなかった幸せを味わえるのも事実☆今では感謝しています♫」
私(立石)の子どもは染色体異常ではなく脳の機能障害である自閉症であるが同じ障害児というカテゴリー。東大出て犯罪者になる人、自殺する人もいるし、社会貢献する人、地位の高い人もいる。東大を出たことが原因ではない。
それと同じで「障害児のお母さんは立派である!人格者である!」なんて世間からは見られているが決してそうではない。人格者もいるし、そうでもない人もいる。障害児の親でも障害は恥だと離婚して子どもを捨てて出て行ってしまう人もいるし、反対に相手に一人子どもを置いてかれて立派に育てている凄い人もいる。障害者手当のお金を大切に使う人もいればパチンコに使ってしまう親もいる。更に人格者で立派であると、服装も質素で福祉福祉していてボランテァ精神ばっちりでないといけない風に言われるが、障害児で一生懸命育てているお母さんでも派手な格好、化粧をしてもいいし、お酒ばかり飲んだり合コンへ行ってもいいと私は思う。
又、人間なんだからこの友人のように「自信がない、可愛いと思えない」というのは本音。看護婦さんの対応も最高だと思う。私も可愛いと思えなかった時期が2年ほどあった。病院で「食物アレルギーと自閉症で何で二つも重なるの!育てられない!どこかへ行ってしまいたい、死にたい!」と泣いていた時、看護婦さんは私を叱らずに黙って「うん、うん、辛いよね・・・」と共感してくれた。
さて、この人格者ではない立派ではない私が時々、少し嫌な思いをすることがある。テレビのトーク番組でママタレントが子育て自慢をしている番組を見た時だ。「うちの子やんちゃで、パパに似てケラケラケラ・・・・」それだけで1時間も番組が作られている。でもこれも私のひがみから来るのだろう。こういう番組を好んで見る人達が又いて視聴率が取れるからこういうただの1母親の子育ての自慢話で番組を作るんだ。そんな子育て本も沢山あったりする。これらを大らかな気持ちで見ることが出来るように、私はもっと人生修業を積みたいと思う。
カテゴリー:正直なつぶやき