2013.05.03

猿蟹の真実

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今、教室用の新年度4作目の絵本“猿蟹合戦”の文章を書いている。(絵本検討委員会という会を社内に作って皆で相談して作っている)読めば読むほど面白い。もう、知っている人も多いと思うがあらすじはざっとこんな感じである

 

「蟹がおにぎりを持っていると、猿が柿の種と交換しようと言ってきた。蟹は、種を植えれば柿がたくさんなってずっと得すると猿が言ったのでおにぎりと交換した。蟹が種を植えるといっきに成長して柿がたくさんなった。そこへ猿がやって来て柿が取れない蟹の代わりに自分が取ってあげようと木に登ったが、ずる賢い猿は自分が食べるだけで蟹には全然やらない。蟹が早くくれと言うと猿は青くて硬い柿の実を蟹に投げつけ、蟹はそのショックで子どもを産むと死んでしまった。蟹は栗・蜂、牛の糞、臼と一緒に仇討をして猿を殺す」

 

 

さて、私が感じたことは4点

①蟹にはおにぎりと交換すれば柿の実を食べられると考える強欲さがある。

②「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」と柿の芽に対して結構酷い言葉を言っている。

③親蟹を殺されても、そのことよりも熟れた柿の実を猿に持って行かれて堅い青柿が数個しか枝に残っていないことに対して悔しがっている。

④何の被害もこうむっていない栗・蜂・臼・牛の糞を涙を使ってうまく誘い猿の仇に加担させている。栗達も自分達は実害を被っていないのに何故、加わったか疑問

 

 

この話は民話だから人々の口を経て伝えられ作者は明確ではないのだ。さてこうなると著作権も何もあったもんじゃあない。出版社が好き勝手に編集する。近代日本を代表する小説家である芥川龍之介は蟹が親の敵の猿を討った後、逮捕されて死刑に処せられるという短編小説を書いているほどだ。

 

 

又、仇討に加わる栗が卵だったり、牛糞ではなく昆布になっていて猿を転ばせる役割にしている話もある。糞は猿がこれを踏んで滑って、そこへ臼が落ちてきて猿を潰す重要な役どころ。けれども、幼稚園や小学校の発表会で牛のうんち役を誰もやりたがらないからという理由で昆布が登場している絵本を選ぶ幼稚園もあるほどだ。

 

 

どの出版社の「猿蟹合戦」を選ぶかは個人の考えによるが絶対に妥協してはならない点があると思う。この話は悪い行いをしてきた者には悪い報いがあるという“因果応報”が主題。だから、最後に猿と蟹が仲直りしてはならないのだ。子どもに対して曖昧な教えはよろしくない!しかし、考えが浅い親がいて出版社によっては「残酷な結末の絵本は子どもが残酷になる」という馬鹿なクレームを真に受けて、蟹や猿は怪我をする程度で猿は反省して平和に暮らす直された文章が多く出回っているのも現実。「仇討は残酷で子どもの教育上問題がある」「“目には目を歯には歯を”の精神が悪だ」という考えがあるのだ。残酷なゲームやテレビのシーンを見せると子どもは残酷になるが、昔話でそうは絶対にならない。却って「悪いことをしてはならないのだ」という心がしっかりと育つ。

 

 

だから、最後に猿が殺されなくても、猿が逃げ出すくらいの文章のものを選んでほしい。仲直りするものは選ばないでほしい。しつこいが末は猿がやられなくてはならないのだ。この辺を曖昧にしてはならんのだ。何故なら、どちらも悪いが流行り人殺し、いや蟹殺しは許されてはならないことだから。”かに道楽”でお酒飲んで蟹すきを我々は食べているがお話しでは駄目である。

 

 

聖書で書かれているように「右の頬を打たれら左の頬を出しなさい」なんて私には絶対に出来ない。攻撃的な私は相手にやられたことを7倍くらいにして返してしまうと思う。自分が彼氏と別れた直後、友達の結婚式に呼ばれて笑顔で「おめでとう」とパチパチと拍手し、マリア様の微笑みで言いながら、心のどこかで悪魔が「早く離婚すればいいのに」と思っているようなもの(ああ、一体どこまで捻くれているんだあ・・・)自分が不幸だと相手の幸せを素直には喜べないのが又、人間らしさだと思う。やり返すのは自然な心の動きだ。

 

 

又、この話の面白さは“猿も蟹も馬鹿だ”いうことである。蟹は猿の悪賢さを見抜けずに簡単に誘いに乗りおにぎりを渡してしまう。猿も自分の身に起こることを想像もしないで蟹を徹底的にやっつける。もし、猿が頭がよかったら赤い美味しい柿を5個くらいは蟹にやって自分が19個食べる、そうすれば蟹は蟹で敵打ちなどは考えなかっただろう。又、猿に殺意は元々なかったけれども結果、親蟹は甲羅に堅い青柿をぶつけられて死んでしまった。まさか死ぬとは思わなかっただろう。猿は力加減というものを知らない。初犯でも執行猶予くらい付いたことを容易に猿は想像できなかったのだろうか。こんなおバカさん同士のやりとり、きっかけはおにぎりと柿の種の交換という小さなことが殺蟹事件、そして栗・蜂・臼・牛の糞・子蟹達の不法住居侵入と暴行事件にまで発展する。

 

 

子どもに昔話を読み聞かせるということは人格の基礎を作ることだと思う。だから生活絵本、創作絵本、アンパンマン、トーマスなどのアニメ系ばかり読んでやらないで昔話も必ず読み聞かせしてほしい。そして、単に“可哀想な蟹がいじわるされて猿に仕返しをした”と簡単なものではなく「蟹も蟹だなあ・・・でも猿めはもっと悪いやつだ」と感じさせるように文章でなくてはならない。又、その絵も可愛い顔ではなくちょっと馬鹿っぽいけ憎めない顔立ちしているけれど、性格の悪さが滲みでている、そんな絵でなくてはならない。

 

 

絵本作り、こだわればこだわるほど深みにはまっていく。読み終わったらリサイクルショップやバザーや友達の元に行ってしまう絵本ではなく、来世に残る絵本、子どもがお爺さんお婆さんになっても書棚に大事に置かれている絵本。自分が親になった時、自分の子どもにも読み聞かせる、そして孫にも受け継がれるそんな絵本を作りたいと私は今、燃えている!

 

 

こんなブログを読んだ人は当社の“猿蟹合戦”の絵本が欲しくなってくると思うが残念ながら一般には売られていませんよ。エンピツらんどの生徒、そして幼稚園・保育園の保育用教材としてしか売っていません。しかもかなり安価で!でも将来はバーコード付けて書店でもアマゾンでも売れるようになりたいです。その時まで待っていて下さいね!

 

 

参考までに私は多くの猿蟹合戦を読んだが、絵では “新 講談社の本 猿蟹合戦”、文章では“岩波こどのも本 かにむかし”のよいと感じた(写真)絵も文章も両方いいものにはなかなかお目にかかれないのが残念だ。これはアマゾンでも書店でも買うことが出来るので是非、読み聞かせしてあげてほしい。ああ、猿蟹合戦だけでこれだけ語れる私も凄いと思う。

 

 

※私と一緒に写っている写真は絵本作家であり出版プロデューサーでもある”松丸枝美子”さん

カテゴリー:正直なつぶやき

  1. 無銘 より:

    頭の悪い人が書きそうな文章だなぁと思いました。

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