2013.06.21
”うんち”と”うんこ”の違い
エンピツらんどの三作目の絵本”猿蟹合戦”がもう少しで完成する。知っている人がほとんどだと思うが内容はこんな感じ。「ある日、蟹がおにぎりと柿の種を猿と交換する。柿が沢山なるが猿が一人占めしてしまう。おまけに青柿を蟹に投げつけ蟹は死んでしまう。子蟹が親の仇打ちのために栗、蜂、臼、牛の糞を連れて猿をやっつける」クライマックスに猿が牛の糞に滑って転んだその上に臼が上から落ちてきて猿を潰すという場面がある。
最初に画家が描いてきた絵がこれ、よく見て欲しい。うんこがやや硬めに描かれている。 一番手前のオレンジの着物を着ているのがうんこ。奥の頭が尖った栗と見分けがつかない。同じような衣装も着ている。
そして、私はどうしても、牛の糞つまり牛の大便を「うんこ」ではなく「うんち」にしたかった。「うんこ」と「うんち」がどこが違うか。「うんこ」はこの語尾の響きから水分量がやや少ない便秘症の人の排泄物、いや便秘気味の牛の排泄物。「うんち」は「ち」の響きからやや下痢便状態が想像出来る。
さて、猿蟹合戦では猿がこの便を踏んで滑るわけだ、だからコロコロした形状のうんこでは滑る訳ないと思った。だからこの絵にはどうしても納得できなかった。だから、こう直すように指示を出した。やや柔らかい便である必要がどうしてもあるのだ。会議でこうやって「うううう、違うんだよなあ・・・うんちはもっと柔らかい感じで描いて!」「うんちが着物を着ている必要はないよね。着物きているうんちだったら猿が滑らないよねえ!」と叫んでいる私
そして、最終的にこう変わった。
子どもはうんちが基本好きである。「みんなうんち」「うんちしたのはだれよ」「りっぱなうんち」などうんちをテーマにした絵本は昔から大人気だ。
子どもは自分の身体に関心があり、特に肛門から毎日顔を出しトイレの便器の水の上から「バイバイ」するうんちに強い興味を持っている。私は幼い頃、何でも語尾に「お母さんこれ取って うんち!」「眠いよ、うんち!」と付けてよく叱られていた。小学校に入学してからも暫く続いて「いつまでも何でそんなに幼いの!」とよく母が嘆いていたのを思い出す。なかなか、うんちから卒業出来なかった。
さて、絵本の味わい方は人それぞれ、絵本というものは全ての文章が絵に盛り込まれている訳ではない。だいたい見開き20ページくらい、文章の方が絵よりも表している内容が多い。もし書かれている文章を全部、絵にした絵本があったら100ページ以上の絵本になり定価5000円以上の値が付くだろう。そんな絵本はこの世に存在しない高くて誰も買えない。だから文章を読んで見えない絵を想像していく作業を脳はするのだ。これが読書する子どもの想像力が養われる理由だ。
つまり、牛が糞をしている姿の絵は載っていない。だから「牛は道端に落ちていた腐ったお菓子を食べて、お腹をこわしたに違いない」「何か消化の悪い物を食べたのかな」などの理由を考えて、ウンウン牛が唸って便をしている見えない絵を子どもは脳に思い描くのだ。
そこまでこだわって絵本を作っている。でも残念ながらこの絵本は幼稚園、保育園の教材として作っているのでアマゾンや書店では買えない。将来、バーコード付けて誰でも買えるようにしたいと思っている。
カテゴリー:正直なつぶやき