2013.07.19
ものの言い方!
自閉症の息子が小学校1年生の時の話。喘息発作が激しい息子に何とか泳ぎを習わせたいと水泳教室の体験授業に連れ回した私。結果、全て玉砕!でも、同じ断るにも実に様々な言い方をされた。
あなただったら、どの断り方を一番受け入れますか?以降は実際、私が言われた断り文句。実際のスイミングスクール名を書きたいところ、特に①は深く傷ついたのでばっちり明記したいのが本音だが名誉気棄損で訴えられるので黒塗りで隠しておく。
① ●●●●スイミングスクール
「あなた、一体何を考えているんですか!こんな程度の低い子、うちで水泳習える訳ないでしょ。入会はお断りします!」
② ▼▼▼水泳教室
「障害のあるお子さんを対象外ですから、申し訳ありませんがお引き取り下さい」
③ ■■■水泳スクール
「他のお子さんに迷惑がかかってしまいます。誠に申し訳ございませんがお引き取りください」
④ ◆◆◆スイミングスクール
「専門のコーチがおりませんので対応できません。入会は御遠慮下さい」
特に「こんな程度の低い子、何をあなたは考えている」と言われた言葉に私は深く傷ついた。人前で涙を出さないポリシーを持っている私だが、この言葉を言われた直後、そのスイミング教室の建物を出る前に目から涙がどっと溢れた。鼻からも沢山の鼻水も出てきた。
このスイミングスクールの体験を受ける前、どうしても入会させたかった私は息子に何度も「コーチの言うことを聞いてじっとしているのよ。動いたり走ったり暴れては絶対に駄目よ」と言い聞かせていた。その言葉をきちんと守り、それなりに体験の場では頑張っていた様子が保護者席からよくわかった。でも健常児のように長くはじっとはしていられなかった。モゾモゾ、ゴゾゴソし始めた。
そして、プールから腕を鷲掴みにされ引き上げられ息子は途中退席させられた。状況が分からず、上に上がってきた濡れた息子を私は抱き締め「よく、頑張っていたね。偉かったね。もう帰ろうね。帰りにお菓子買って家で食べようね」と私が泣いていることがわからないように言った。
今では当時よりも私は母として強くなったがこの文章を書いているだけで、当時の場面がフラッシュバックし心が締め付けられ涙が出てきてしまう。そのスイミングスクールは家の近所で前を通ることも多いが、何とも言えない不愉快な感情が今でも湧き起こってくる。
さて②③④。どれも言葉は丁寧で水泳教室側からすれば正論だが、私は傷ついた。「本当のおっしゃる通りです」と心から納得は出来なかった。
その中でたった一ついい断り文句を言ってくれた水泳教室がある。こう言われたのだ。「水泳は危険を伴うスポーツです。子ども10人対コーチ1人なので立石さんのお子さんに何かあったら大変です。ですから現状ではコーチの数も限られていますので入会をお断りぜざるを得ません。こちらも誠に残念なのですが申し訳ございません」と・・・・
これには私は心から納得してしまった。そして入会を諦めることが出来た。この断り文句だけが私の立場、こちらサイドで言ってくれたのだ。他の②③④はどんなに丁寧な言葉を使っていてもあくまでも水泳教室側の論理を押し付けているのだ。
さんざん断られる経験をしている私は、この水泳教室の体験授業を受ける時も息子が自閉症であることを隠して体験させた。事前に伝えてしまうと電話の時点で断られるのがわかっていたからだ。でも、あまりにも動きまわる多動性の激しい息子の障害はすぐにばれてしまった。最終的にはこの水泳教室は日曜日、障害児・障害者用の枠がありそこで受け入れてもらえた。写真はそのコーチと私とのツーショット!障害の特徴をよく理解してくれ、きめ細かな個別対応をしてくれるので息子はクロール・平泳ぎ・バタフライまで泳げるようになった。こうやって地上でも喜んで平泳ぎ・クロールの練習をしている。
こんな私の辛い経験からエンピツらんどの講師に私はこう指導している。障害があるなしに関わらず授業を極端に妨害し受け入れ難い生徒が入会を希望してきた時には決して「他のお子さんに迷惑がかかるので入会をお断りします」とは言ってはならないこと。あくまでも相手側に立って「お子さんにはまだ早すぎます。今、入会しても席を立ってしまうことを何度も叱られ却って勉強することが嫌いになってしまいます。もう少し幼稚園に慣れ落ち着いてから再度お声をかけて下さいね」と言うようにと。
あくまでも相手の気持ちに寄り添うこと。これってとても大切なことだと思う。
カテゴリー:正直なつぶやき