2013.08.09
去り方
人は人から去る、会社から去る、家族から去る(離婚)、学校から去る(卒業)、親元から去る(自立)人生で様々な「去る」を体験する。「別れ」とも言うが「去る」とも言う。この去り方はその人の生き方、価値観により様々なスタイルとなる。
例えば幼稚園の先生、結婚が決まり「おめでとう」と言われて花束をもらい祝福され辞めて行く人。5日連休明け、夏休み明けなどの実家に帰ってそれ以来、突然、幼稚園に出て来なくなり辞めてしまう人。同じ去る行為でも全く違う。態度評価という言葉があるが人はこういう時に生き様が出てくるものだ。
「おめでとう」と祝福されて退職した職員はその後、子どもが生まれたら昔の職場が懐かしくなって我が子を連れて旧職場の幼稚園の運動会、発表会にも顔を出す。「わあ、元気だった~!ママになったんだね」と更に皆から祝福される。歳をとって子どもが中学生くらいになるとパートとして旧職場に復帰したりして後輩の育成の仕事に関わり、心も経済的にも満たされる。これは去り方が良かったからもたらされた人生の幸運。
ところが、後ろ足で砂をかけるような辞め方をすると二度とその園には行けない、近所に住んでいたりするとスーパーマーケットで保護者の姿を見かけただけで、コソ泥のように柱の後ろに隠れたりする。その幼稚園の名前を聞くたびに「悪いことしてしまった・・・」という自責の念にかられる。幼稚園側もその職員の話題が出た時「あの人、本当に無責任な人だったね、ひどい辞め方したよね」という会話が飛び交う。
転職することになり転職先の会社の人事の人から「○○いう方が面接にいらっしゃっているのですが、一体どのような辞め方をされたのですか」と確認の電話がかかってくることがある。そんな時、個人情報があるので詳しくは伝えられないが、その会社のことを思ってマイナスの悪い情報を伝えることになる。
それからの長い人生で「昔、幼稚園の先生をやっていました」なんて笑顔で明るく人前で言えない。
私も51年の人生で何度か転職を経験したがその中で何個は酷い去り方をしてしまった。最初に就職したマルマンゴルフがそうだった。心の病にかかって辞めてしまったので何の引き継ぎもせず私物の荷物も全て置いたまま辞めてしまった。恥ずかしげもなく成人した娘の私物を親が取りに行った。だからマルマンのコマーシャルが流れたりスポーツ用品店でマルマンの製品を見るだけで後ろめたい気持ち、自分自身を責める感情が30年経過しても沸々と湧き出てくる。私にとっては完全に人生の汚点になっている。
その後、色々転職した。その中には自分のせいても自分の意志でもなく経営難により倒産、閉鎖された結果、解雇された経験もある。その会社に対しては私は決して悪い感情を持っていないし、その経営者に対しては経営能力はなかった人だとは思ってはいるが人として尊敬しているのでその後、お茶や食事をしたこともある。私個人の意志で行動したことではないのでわだかまりがないのだ。でも、私物も持って帰らず机の上をぐちゃぐちきゃにしたまま、ある日突然、出社しなくなった会社に対しては全て自分がやってしまったことだからとても自分の行為に対して後悔している。だから今も自責の念にずっとさいなまれる。
辞める時、辞めたい時は心が尋常ではないかもしれない、一刻も早く立ち去りたいと人は思う。でもその最後の幕引きのやり方で、その行為が自分の人生に与える影響はかなり大きい。今の感情はそっと紙に包んでおいて自分が今まで貢献してきたその職場に対して何を置いて行ったらいいのかじっくり考えることが最終的に自分に得になる。“終わりよければ全てよし”という言葉があるが“終わり方悪ければ、全て悪し”なのだ。
よく園長先生と話していると「最近の若い職員は折れやすく年度途中でやめてしまう人も多くいる」と悩みを打ち明けられることがある。もうすぐ夏休み、9月から幼稚園に戻りたくないと思って実家で過ごしている保育士、幼稚園教諭の先生がもし、このブログを読んでいたら少し自分のために考えてみてほしい。「辛い、苦しい」その感情は一旦、箱にしまっておこう。先生を必要としている子ども達、保護者の顔、仲間の職員の顔を思い出して今、自分がなすべき最善の選択をしてほしいと強く願う。
去り方ってとっても大事である。こうやって感謝されながら去ろう・・・
カテゴリー:正直なつぶやき
おはようございます。去り方…大事ですよね。
私もつい最近、会社で仲良くしていた子の私物を片付け 郵送しました。引き継ぎもないまま大量の他業務が私にまわってきて、色々な意味で辛かったです。
立つ鳥あとを濁さず。心がけたいです。
あゆみさま~本当にそうですよね。それぞれの立場で言い分はありますが去り方をよくすることは何よりも自分のためだし、お世話になった周りの人への心遣い配慮ですよね
「立つ鳥、跡を濁さず」ということわざがありますが、
なかなかそうはいきませんよネ!
私も立石さんと同じく、以前、勤めていた会社で酷い別れ方をしたモンですヨ!!
〝感謝されながら去る〟
これを日本社会全体に広めていきたいですネ!
(^.^)/~~~
そうですよね。基本自己中になってしまいますよね。でも、そこを超越しなくてはなりませんねえ~修行です!立石