2013.08.27
浦島太郎の真実
“浦島太郎”という有名な話がある。6作目の教室教材の絵本はこれである。写真は絵を描いてくれる“いずみ朔庵(いずみさくあん)”さんとおっしゃる方。
かなり美人さんで和服がとてもお似合いの魅力的な方!モデルさんみたいだ!
朔庵さんのホームページはここです。こんな絵を描くお方です!→www.sakuan.net/
浦島太郎のあらすじはざっとこんな感じ。
“浦島太郎は、子ども達が亀をいじめているところに遭遇する。太郎が亀を助けると、亀は礼として太郎を竜宮城に連れて行く。
竜宮城では乙姫が太郎を歓待する。しばらくして太郎が帰る意思を伝えると、乙姫は「決して開けてはならない」と玉手箱を渡す。太郎が亀に連れられ浜に帰ると太郎が知っている人は誰もいない。
太郎が玉手箱を開けると、中から煙が発生し、煙を浴びた太郎は老人の姿に変化する。浦島太郎が竜宮城で過ごした日々は数日だったが、地上では300年もの長い年月が経っていた。”
浦島太郎を読み聞かせると子どもから様々な質問を受ける。一番よく子ども達から聞かれるのが「海に潜って何で息が出来るんだ?溺死しないんだ?」という質問。わりと現実的。
幼い頃、異常なくらい正義感が強かった私、虫を苛めているクラスメイトに浦島太郎のように激しく注意していた私はこの話を聞いて「何故、浦島太郎は亀を助けるという善行をしたのにお爺さんになってしまったんだろう?
可哀想だ。竜宮城の手土産が12個13個もあって、その中の1つに開けてはならない玉手箱があるのならまだわかるが、これ1つしかお土産で渡していないのに、開けてはならないと渡す乙姫はかなりおかしい!」なんて子どもながらに感じていた。
幼稚園の先生だったか親に言われたのか記憶は定かではないが質問したら「約束を破ったからよ」とあっさり言われてしまった。そして、それ以上何も言えなかった。
「子ども達から亀を守ったのに、開けてはいけない玉手箱を開けただけでそんなに大罪になるのか」と幼い私は消化不良状態、どうしても不可解な話だった。そして50年近く経った最近までずっと心のどこかに引っかかっていた。
そして、その疑問からか何故か印象に残っていた話なのでエンピツらんどの生徒用絵本としてこの昔話を選択した。
他の教室絵本もそうだが絶対にアニメ的な絵にはしたくなかった。そんな軽い絵にしたら話の良さが伝わらない!子ども達に本物を与えたい、だからどうしても芸術性の高いものに仕上げたかった。
私の竜宮城のイメージは大阪の新世界近くにあるこの大正時代の遊郭をそのまんま料亭にした“鯛よし百番”。有形文化財にも指定されている。中はこんな感じ。まるで竜宮のような壁画もある。
少し怖い場所にあるのでこんな私はこんな変装をしている。
そして、そんな絵を描いてくれる画家さんを探していたところ運命の糸に引かれて“いずみ朔庵”に出会った。
誰かが紹介してくれた訳でもなくネットで探し当てたのだ。これは朔庵さんとのツーショット。乙姫様に何だかとても似ている・・・・
さて、文章を編集する上で様々な文献を調べた。元々は御伽草子からきているもの。ある文献は“子ども達の登場場面はなく浦島太郎が釣りをしていたら亀が釣れ可哀想なので逃がしてやった。
後日お礼にと竜宮城から使いがやってくるもの”また、ある文献は“最後に玉手箱を開けてお爺さんになった後、浦島太郎が鶴になり蓬莱山に飛んで行く”話しなど様々だ。
昔話は伝承されていく間に時を経て地域により変化することはよくあることだ。だから面白い。
写真は朔庵さんが前に作った浦島太郎の紙芝居の一こま
その中で衝撃的なことがわかった。原作はかなり過激な性描写がされていたのだ!浦島太郎は亀を助けたのだが最初からこれは元々しくまれていたことで、実は女の園で女性しかいない竜宮城の乙姫様が種付けの相手として男子を探していたということ。
又、子孫を増やしていく上で外の世界の遺伝子を入れる必要もあったためその相手を探していたということだ。
そんな時、丁度、歳は25歳、地上ではあまりぱっとしないし女にもてないが心の優しい浦島太郎が不幸にも選ばれてしまった。早速、竜宮城から使いがやってきて浦島太郎を連れ去る。
竜宮城では歌や踊り豪華絢爛な食事の宴だけでなく、夜の部の乙姫と浦島太郎との本能の赴くままの情交の絡みが描かれている。
乙姫様が相手が出来ない時は女人と化した鯛やヒラメが代役をし浦島太郎の相手をしていたというのだ。竜宮城での生活があまりに過激な内容のため、
現代の『浦島太郎』は竜宮城で行われていた過激な性生活がバッサリと削除されているのである。
やがて、肉体も精神も精根尽き果ててしまった浦島太郎は残してきた母親のことが気がかりになり地上へ戻ると乙姫に切り出す。
乙姫は「浦島太郎を返したくはない。他の女性に渡したくはない」という思いで老人になる煙が入った玉手箱を渡し、浮気をしないようにしたと言うのだ。それくらい強い思いがあった。
だから“浦島太郎が善行をしたのに可哀想とか~”そんなことは乙姫にとってはどうでもよかったのだ。
私はこれで”浦島が爺さんになってしまった理由”がわかり、大げさだが憑き物が落ちたようにホッとした。ずっと疑問に思っていたモヤモヤが霧が晴れたようにすっきりした。
幼児にはここまで描写した絵本を与えることは出来ないが、腑に落ちないところが昔話が人の心を魅了して止まない理由だと思う。
もし、子ども達に「立石先生~どうして浦島太郎は亀を助けたのにお爺さんにされてしまったの?」とかつての私がしたように質問を受けたらどう答えようか。
「それは乙姫が浦島が地上に戻っても浮気しないために爺さんになる煙をお土産にしたのよ!」とは言わず「どうしてかしらね。それが人間っちゅうもんなの~」とぼやかして答えるだろう。腑に落ちない不可解な私の生徒達の顔が今から目に浮かぶ。
さて、朔庵さんは大人向けのここまで描写した浦島太郎の紙芝居も作っている素晴らしい人。私は大大大ファンだ!
私が持っていた竜宮のイメージが遊郭跡の建物だったことも朔庵さんに出会えたのも何かの運命によるもの。
“スナック竜宮“なんてうらぶれたどこの町の路地裏にも2~3軒はありそうだが、私の持っているイメージはそんな軽い感じのものではなく文化財に指定されている大阪の”鯛よし百番”た。
子どもの絵本なのでここまでの荘厳さは出さないが大作になることは間違いない!
宜しくお願い致します!!
カテゴリー:正直なつぶやき
浦島秘話。興味深く読ませていただきました。
ぜひ子供に買い与えてみたいです!!