2013.12.31
蛙の王子様
グリム童話の“蛙の王子様”という童話をご存知ですか?
知らない方のために、あらすじはざっとこんな感じ
“王女様がまりを池に落としてしまう。そこへ蛙が「自分を王女様の友達にしてくれるのなら、池に落としたまりを拾ってきてあげよう」と申し出る。王女はまりを取り戻したい一心で、その条件をのむ。
しかし、王女はまりを取り返すと約束を破って蛙を置いて帰る。それでもカエルは自力で城にたどり着き、王女に約束を守るように言う。王女は嫌々ながらも蛙と一緒に夕食をとった後、すぐに寝室に戻るが蛙は寝室にまであがり込みベットの中にまで入ってきた。
図々しい蛙を見て王女は怒りのあまり蛙を壁に叩きつけるが、その衝撃で蛙の魔法が解け、立派な王子に戻る。すると、姫はいっぺんに王子が好きになり二人は幸福な結婚をする。“
史上最悪の姫君だ!この話は一体、何を子ども達に伝えたいのかよくわからない!どんか教訓があるのか全くわからない!見た目の醜い蛙だから約束を破り、更に床に投げつけるという暴力を姫君は奮う、しかし、イケメン王子に変身した途端にに目をハートにして態度を翻す。うううう・・・何とも納得がいかない結末!これが同じグリム童話でも“赤ずきん”や“狼と七匹の子ヤギ”ほど有名にならなかった理由ではないかと私は分析している。
でも私はこの姫の人間臭さがとても好きである。まりを拾ってほしいあまり、守れない約束をする、平気で破り相手の見た目が良くなったら態度を変える。誠に身勝手な行動に写るが自分の心に正直な姫。同じ状況だったら絶対に私も姫と全く同じ行動をするだろう。男の人だってブーの女性に振り向かなかったのが整形手術した途端に付き合ったりすることってあるんではないだろうか。
浦島太郎だって腑に落ちない話「なぜ、亀を助けたのに竜宮の乙姫はお爺さんになってしまう煙入りの玉手箱を渡したんだろう?」と私は子ども頃からずっと疑問に思っていた。実は浦島太郎は種付けのためにさらわれ、地上に帰ってから浮気をしないように玉手箱を渡されたという説がある。詳しくは以前のブログに書いた。(結構面白発見ブログなので是非読んでくださいね~!)
昔から伝承されている話には「これこれこういうものを学んでほしい」という明確な教訓なんて全くないものも多数ある。「未来の子ども達の道徳教育をしよう」なんて大それた考えて作られた訳ではないから、それもそうである。後世になって教訓めいたものだけ目立っているのかもしれない・・・
さて、これとは真逆な話がある。“泣いた赤鬼”だ。あらすじはざっとこんな感じ
“山の中に一人の赤鬼が住んでいた。赤鬼はずっと人間と仲良くなりたいと思っていた。そこで、「心のやさしい鬼の家です。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます」という立て札を書き、家の前に立てておいた。
しかし、人間たちは疑い、誰一人として赤鬼の家に遊びに来ることはなかった。赤鬼は悲しみ、信用してもらえないことを悔しがり、終いには腹を立て、せっかく立てた立て札を引き抜いてしまった。
一人悲しみに暮れていた頃、友達の青鬼が赤鬼の元を訪れる。赤鬼の話を聞いた青鬼はあることを考えた。それは、「青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば人間たちにも赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう」という策であった。これでは青鬼に申し訳ないと思う赤鬼だったが、青鬼は強引に赤鬼を連れ、人間達が住む村へと向かうのだった。
そしてついに作戦は実行された。青鬼が村の子ども達を襲い、赤鬼が懸命に防ぎ助ける。作戦は成功し、おかげで赤鬼は人間と仲良くなり、村人達は赤鬼の家に遊びに来るようになった。人間の友達が出来た赤鬼は毎日毎日遊び続け、充実した毎日を送る。だが、赤鬼には一つ気になることがあった。それは、親友である青鬼があれから一度も遊びに来ないことであった。今村人と仲良く暮らせているのは青鬼のおかげであるので、赤鬼は近況報告もかねて青鬼の家を訪ねることにした。しかし、青鬼の家の戸は固く締まっており、戸の脇に貼り紙が貼ってあった。
それは「赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。ぼくはどこまでも君の友達です」という青鬼からの置手紙であった。赤鬼は黙ってそれを2度も3度も読み上げ、涙を流して泣いた。その後、赤鬼が青鬼と再会することはなかった“
「ううん、感動の友情物語・・・」と涙がちょちょ切れてしまう人も多い有名な絵本だが私はそんな風に思わなかった。「なぜ、青鬼はそこまで自己犠牲するのか。きっと以前に赤鬼から命を助けられたとか、そんなことがあったんだろう。でも本には全く書いてはない。何の貸し借りもないのに、こんな青鬼のような奇特な人がいるもんだろうか?青鬼は偽善者つぽい。だから個人的には“好きくない!”」
と押しつけがましく感じるひねくれた私・・・
ああ、結論が出ない。ともかく子どもには教訓を明確に伝えるもの、それから、何が言いたいのかわからないもの色々読み聞かせて自分の人生では味わえない経験を疑似体験してほしいと思う。そして、子ども達がこれから歩んでいく長い人生の中には“理不尽で納得できないことも起こるんだ!”ということを絵本を通して知ってほしい。
絵本の選び方、読み聞かせ方については私の三作目の本に書いたが、書店に並ぶ本なので蛙の王子様の話が人間臭いとか、浦島太郎が拉致されたとか、青鬼の行動は納得できないなどの私見は編集者との話し合いの結果、残念だか全てカットされてしまっている。だから私の著作の中で(と言ってもたった三冊なのだか)王道を行く一冊です。それでも興味ある方は買ってください~!
カテゴリー:正直なつぶやき
確かにどのお話も納得いかないものばかりですなぁ!
もしかしたら立石さんのブログの文章にあるように
子供達へ〝理不尽さ〟を伝える為かもしれませんネ!!
3冊目のご著書、私も読んで参考にしマス☆
(^_^)v